ガス自由化を詳しくご紹介!
ガス自由化は、2017年4月1日から全面解禁となり、家庭も自由に都市ガス会社を選ぶようになります。市場が開放されることで多彩な料金プランや割引によるガス代の値下げだけでなく、サービス面の改善も期待されるなど様々なメリットが期待されています。各家庭によって最適なサービスは異なってくるため、まずは申し込みを行う前に家計のシュミレーションを行い最適なプランを見つけることから始めましょう。当サイトでは、おすすめの都市ガス会社を比較やランキングで詳しく解説しているので、切り替えの参考になれば幸いです。
電気に続き、ガス自由化も始まる
2016年4月1日に電力自由化がスタートしてから1年後の2017年4月1日、都市ガスも小売り自由化が全面解禁となります。
これまでは企業や工場など大規模需要家を対象にガス自由化は実施されていますが、今回の全面解禁により小口契約である家庭や小規模商店なども自由に契約先を選べるようになります。
電力自由化のように、既存会社よりも割安な料金プランや多彩な付帯サービスなどが期待されており、今まで以上に使い勝手が良くなります。
早期割引特典をはじめガス自由化に向けて各企業ではオトクなキャンペーンなど実施しているので、この機会に切り替えを検討することをおすすめします。
また、今回の自由化は都市ガスが対象となっており、LPガス(プロパンガス)利用者は対象ではないため関係ないと思っている人も多いですが、都市ガス市場へ参入するLP企業は多く、間接的にサービス向上などの恩恵が受けられることが期待されています。
都市ガスとLPガスとの違い
家庭で利用されているガスには、都市ガスとLPガス(プロパンガス)の2種類があります。
LPガスは、ガスの入ったボンベを各家庭に届けて利用するため、ボンベの設置スペースが必要となります。
いっぽう、都市ガスはガス導管によって自宅までガスが届けられるため、ボンベなどを設置する必要がありません。
また、都市ガスとLPガスはガスの質が異なるため、使用するガスコンロもそれぞれ専用の製品を用意する必要があります。
よく転勤などで異動した際に、都市ガスからLPガスに代わってガスコンロが使えなかったという体験をした人も多いことでしょう。
他にも、都市ガスは空気より軽い性質のため天井付近にガス漏れ警報器を設置するのに対し、プロパンガスは空気より重い性質のため床付近に警報器を設置します。
家庭でどちらのガスを利用しているかを見分ける判断としては、ガスボンベの有無や警報器の設置場所ですぐに把握できます。
LPガスは、都市ガスのように国が価格設定に介入しない自由料金商品であるため、料金は高い傾向にあります。
ただし、LPガスは二酸化炭素の排出が非常に少なく環境に優しかったり、地中にガス導管を引く都市ガスと違いボンベの設置だけで利用できることから復旧が早く震災に強かったりとメリットもあります。
有料LPガス会社であれば割安料金でガスを販売しており、LPガスも「業者変更」によりガス料金の削減に成功している人がたくさんいるので、都市ガスと同じように各社の料金プランを見直すことをおすすめします。
ガス自由化で生活はどう変わる?
ガス自由化は開始され、ガス会社を自由に選択できるようになっても今まで通り、既存のガス会社がガス管やメーターなどを管理していくため、安心・安全にガスが利用可能です。
特に新しいガス会社を選んだからと言って工事が必要になることもなく、そして、ガス会社が変わってもガスの品質が変わることもないので、既存のガス機器をそのまま使用することが可能です。
したがって、ガス会社を切り替えても生活は今まで通りで料金やサービス内容が変わるだけとなります。
ただし、都市ガス会社を変更した場合は、ガス機器の点検など保安業務を担うこととなるため、今後、ガス機器に関する問い合わせは新たに申し込みを行った会社の対応になります。
新規参入企業も、LPガス会社と提携するなど保安面でのノウハウが豊富な企業と提携するなどし、安全にガスが利用できるよう体制を確立させているので安心です。
変わる | 変わらない |
---|---|
ガス会社が選べる | ガス管は既存のまま |
多彩な料金プランから選べる | ガスの品質は変わらない |
ガス機器の点検は契約先のガス会社が行う | 緊急保安は既存ガス会社が行う |
ガス自由化のメリット・デメリット
自由化によるメリット
- ニーズに合った料金プランやサービス内容で都市ガスが選択可能
- 電気や携帯電話、インターネットなど一緒に契約することでオトクなセット割を適用
- 契約先を一元化させることで家計の管理が容易になる
- 様々なバックグランウドを持つ企業が参入することで、今までにないサービスの誕生が期待
自由化によるデメリット
- 二重導管規制や託送料金など課題あり
- LPガス(プロパンガス)利用家庭も多く、自由化のメリットが受けられる地域が限定的になりがち
- 料金プランの複雑化や価格が不安定になるなどのリスクもある
ガス会社の切り替え方法
ステップ1:ガス会社を選ぶ
会社ごとに異なってくるため、まずは自分に合ったプランを正しく選べるよう毎月のガス代を把握して、ガス会社の切り替えによってどれだけ削減可能かをシュミレーションしていきます。
電気、インターネット、あるいは携帯電話と一緒に契約することで家計全体の支出を見直すことも可能です。
既存のガス会社を継続するにしても、ガス自由化に合わせて新たな料金プランを設けていることがあるのでプラン変更で毎月に費用が安くできないか1度チェックしてみましょう。
ステップ2:申し込み・検針票の準備
オトクなガス会社が決まれば、申込書に記入あるいはインターネットから申し込み手続きを行います。
その際にお客様番号が必要となるため、「検針票」を用意しておくとスムーズに申し込み作業が行えます。
検針票が見つからない場合は、既存ガス会社のホームページやナビダイヤルからでも確認可能です。
ステップ3:開栓
申し込みを後に契約が成立すれば、ガス開栓の手続きとなります。
開栓当日には保安点検などで立会が必要になることもあるため、新規ガス会社の指示に従ってください。
工事など特に発生することもないので、電気のようにスムーズに切り替えを行うことが可能となります。
また、ガス機器も取り替える必要がなく、継続して現在の機器を使用できるため安心です。
ガスとIHはどっちの方がお得?
ガス自由化が始まったものの、電力自由化の際と比べるとガスは取り扱いも難しいため参入企業が少なく、2017年3月現在でも26社のみで、そのうち一般家庭向けにガスを販売している会社はわずか10社に留まります。
その原因の一つとして、ガス自由化が認められたものの、そもそもガスの市場規模は2兆4000億円と言われており、電気の市場規模と比べるとおよそ8兆円も劣る規模になってしまいます。
また、電気に比べるとガスは重大事故にもつながるリスクが高いため、安全基準をクリアするハードルが高いことがあげられます。
さらに最近は、IHクッキングヒーターの普及によりガスコンロを使わない家庭も多く見受けられるようになってきたことが挙げられます。
そこで、ガスコンロを使う場合と、IHヒーターを使う場合のそれぞれのメリット・デメリットを紹介していきたいと思います。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
ガスコンロ | ・ガス料金が安くなる ・停電時でも使える ・鍋振り料理ができる |
・火事など重大事故のリスク高い ・お掃除などの手入れが大変 |
IHヒーター | ・直接火を出さないため安全性が高い ・メンテナンスで快適に使用可能 |
・停電時に使えない ・火力が弱いものが多く料理時間が長い ・使用できる鍋が限られる |
賃貸住宅とガス自由化
電力自由化が認められた時と同様に、「ガス自由化は認められたけど、アパートやマンションといった賃貸住宅でも、自由にガスを購入することができるの?」と言う疑問が多く上がっています。
結論から言うと、電力自由化が認められた時と同様に、一部例外はありますが、基本的にはアパートやマンションといった賃貸住宅でも、自由にガスを購入できるようになります。
また、電力自由化と同様に、ガス自由化になって好きなガス会社を選択できるようになりましたが、ガス会社を切り替えても従来使っていたガス管とコンロを使うため、追加で工事が発生することもありません。
しかし、賃貸住宅でも自由にガス会社を選択できないケースも例外として存在します。
具体的には、ガス自由化後もガス会社が選べないケースとして、プロパンガスを使っている家庭が挙げられます。
そもそも、ガス自由化とは都市ガスに限った話であり、プロパンガスは1996年より規制が既に解除されているため、今回のガス自由化とはなんの関係もなく自由に選択することができるガスになっています。
ただし、賃貸アパートやマンションの場合は、プロパンガスを大家が一括契約していることが多いため、住人が自由に選択できないことが多いので注意が必要です。
また、地方など都市ガスの整備が遅れている地域には参入企業がないため、ガス会社の選択肢が既存都市ガス会社しかないというケースもまだまだあります。
ガス自由化はまだ始まったばかりであり、これからさらに多くの参入企業が増える見込みがあるため、新規のガス会社がサービスを提供していない地域は今後のサービス拡充を期待しましょう。
海外のガス自由化事情
実は、日本では2017年4月に認められたばかりのガス自由化ですが、海外ではすでにガス自由化が認められていた国がありました。
初めに、それらの国々を紹介すると、イギリス(1998年〜)、ドイツ(1998年〜)、イタリア(2003年〜)、フランス(2007年〜)、アメリカ(1996年〜)と言うように、以上5カ国ではすでにガス自由化が認められていました。
しかし、海外のガス自由化に伴うガス事情を知ったところで、私たち日本人には何の関係ないと思う人もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
日本より先にガス自由化を進めている国を例に考察することによって、今後の日本でのガス自由化によって新規参入するガス会社を選ぶ際のヒントになるはずです。
そこで、海外のガス自由化を認めている国を紹介する上で、まず初めに、ガス自由化が最も成功した国としてあげられるのがイギリスです。
イギリスでは、現在67%以上の家庭で新規参入のガス会社のガスが使用されており、それらの家庭のほとんどが、ガスと電気をセットで購入しています。
イギリスでもガス自由化が認められた当初は今の日本のように、中々新規参入ガス会社のガスを購入することを躊躇する人は多かったものの、イギリスの場合は政府がこれに関与したこともあり、ガス自由化がこれほどにまで普及しました。
そのため、ガス自由化は失敗する国も多いのですが、イギリスはガス自由化のお手本となるような国であると言うことができます。
一方、アメリカでは、世界で一番最初にガス自由化が認められましたが、日本と比べるとエネルギー自給率も高いため、アメリカにおいてガスで利益を出すことは容易ではありません。
そのため、アメリカでは8つの州でしかガス自由化は認められておらず、実際にガス自由化が成功したのはニューヨークだけで、ガス自由化によって新規参入したガス会社の普及率も高いとは言えません。
また、ドイツに関して言うと、ガス自由化が認められたことによって、価格は一時的には大幅に値下げされたものの、その後はガスの料金は値上がり傾向にあると言うことができます。
このように、一般的に電力自由化と比べると、ガス自由化の方が普及するのは難しいと言うことができます。
ただ、日本はまだ、ガス自由化が認められたばかりですので、今後どうなるかの動向は常にチェックし続ける必要があるとは言うことができます。